自動化・連携 種別:ツール 成熟度 安定 学習コスト 低

n8n

SaaS 連携をノードで組む自動化ツール。自己ホスト可で実行回数課金

分野「自動化・連携」:決まった作業を、人手なしで繰り返す。 分野の役割とつながりは分野の解説へ。

別名:n8n.io、nodemation、エヌエイトエヌ

できること

n8n ができないこと

  • 自己ホスト版を第三者向けのホスティングサービスや有償製品として提供すること(Sustainable Use License は内部業務・非商用・個人利用に限定)
  • Community 版(無償の自己ホスト)での SSO(SAML / LDAP)、環境分離、外部シークレット、Git 連携、プロジェクト単位の権限管理(有償版の機能)
  • Cloud 版でプランの同時実行数(Starter 5、Pro 20)を超える Webhook の即時処理(超過分はキュー待ち)
  • 実行履歴の長期保存(Cloud Starter は7日、自己ホストは既定14日または1万件で削除)
  • 1ノードで完結しない複雑な分岐・ループを、コードなしのまま保守し続けること(Code ノードか外部スクリプトが必要になる)

制約

先頭の行が、このツールで最も先に当たる制約。値はすべて出典の一次情報で確認したもの。

項目 影響 出典 検証日
Cloud 版の月間実行回数(課金単位) (主要制約) Starter 2,500回 / 月(€20 / 月・年払い)、Pro 10,000回 / 月(€50 / 月・年払い)。1回=ワークフロー1回の実行で、ノード数や処理件数は問わない 課金は「起動回数」で決まる。Webhook を1件ずつ受ける設計は件数分の実行を消費し、まとめて1回で処理する設計は消費が少ない。頻度×トリガー数で月の回数を見積もる n8n.io
Cloud 版の同時実行数 Starter 5、Pro 20、Enterprise 200+(本番実行のみ対象。超過分はキューに入り FIFO で処理) 短時間に Webhook が集中すると6件目以降は待たされ、応答が遅れる。即時応答が必要な受け口には向かない n8n.io
Cloud 版の実行ログ保持 Starter 最大2,500件・7日、Pro 最大25,000件・30日、Enterprise 最大50,000件・無期限。インスタンスのデータ容量は最大 100 GB。件数か日数のどちらかに達した時点で古いものから削除 障害の後追いは1週間以内に行う必要がある。監査目的の保存は外部へ書き出す docs.n8n.io
自己ホスト版の実行データ削除(既定) プルーニングは既定で有効。EXECUTIONS_DATA_MAX_AGE = 336時間(14日)、EXECUTIONS_DATA_PRUNE_MAX_COUNT = 10,000件 既定のままでは2週間前の実行結果は消える。逆に無効化すると DB が肥大化して容量を使い切る docs.n8n.io
自己ホスト版の1実行タイムアウト EXECUTIONS_TIMEOUT の既定は -1(無制限)。利用者がワークフロー単位で設定できる上限 EXECUTIONS_TIMEOUT_MAX の既定は 3,600秒 既定では暴走した実行が止まらない。運用時は全体タイムアウトを設定し、1時間を超える処理は分割する docs.n8n.io
自己ホスト版のライセンス(Sustainable Use License) 利用・改変は「自社の内部業務目的」か「非商用・個人利用」に限る。他者への配布・提供は無償かつ非商用の場合のみ。ファイル名に .ee. を含むコードは別途 Enterprise License が必要 社内の自動化基盤としては無償で使えるが、顧客向けに n8n を組み込んだサービスを売る形は不可。OSI 準拠のオープンソースではない github.com

典型的な落とし穴

  • 自己ホストの既定 DB は SQLite で、実行データを削除しても領域は自動で解放されない(VACUUM 設定が必要)。本格運用では PostgreSQL に切り替える
  • 認証情報は暗号鍵(N8N_ENCRYPTION_KEY)で暗号化して保存される。鍵をバックアップに含めないと、DB を復元しても全 credential が使えない
  • 実行回数の見積もりを「処理件数」で行うと外れる。課金は起動回数なので、Webhook 1件=1実行、まとめ取り1回=1実行
  • ワークフローが増えると変更履歴と環境分離(開発・本番)がないまま本番を直接編集する運用になりがち。Git 連携は有償版

コスト

課金モデル
無料枠あり
跳ねる条件

自己ホスト(Community 版)は無料だが Sustainable Use License の制限がある。Cloud 版は Starter €20 / 月(年払い)で 2,500 実行 / 月から。課金が跳ねるのは月間実行回数の上限で、Business は 300,000 実行の追加バケットが €4,000

出典
n8n.io  検証

代替手段と差分

代替 何が違うか
Zapier Zapier はフルマネージドで対応コネクタが多く、タスク(ステップ)単位で課金される。n8n はワークフロー実行単位の課金で自己ホストなら無料だが、サーバーの運用が自分の責任になる
Google Apps Script GAS は Google サービス内の処理をコードで書く。n8n は複数 SaaS の連携を画面上で組み、Google 以外のサービスにも同じ手順で接続できる。Google 内で完結し、かつコードを書けるなら GAS のほうが制約が少ない
GitHub Actions GitHub Actions は開発リポジトリに紐づく定期・イベント実行で、SaaS への接続は API を自分で叩く。n8n はコネクタが用意されているが、コードのバージョン管理は有償版の機能になる

このツールを代替として挙げているページ: cron / systemd timerGitHub ActionsGoogle Apps ScriptMake(旧Integromat)Zapier

選定判断

複数の SaaS をつなぐ自動化を、コードを最小限にして社内で回す用途では第一候補。自己ホストできる点が Zapier との最大の差になる。避けるのは、n8n を組み込んだサービスを顧客に販売する場合(ライセンス上不可)と、Webhook の即時応答や秒単位の高頻度実行が要る場合(同時実行数の上限に当たる)

ノードを線でつなぐ画面で「トリガー→変換→出力」を組む自動化ツールで、Zapier に近い体験を自己ホストで得られる点が支持されている。ライセンスは OSI 準拠のオープンソースではなく Sustainable Use License(fair-code)で、内部利用は無償、第三者向けの商用提供は不可という線引きになる。

利用者が最初に当たるのは Cloud 版の月間実行回数である。1実行=ワークフロー1回の起動で数えるため、Webhook を1件ずつ受けるか、定期実行でまとめて処理するかという設計の違いが、そのまま月額に反映される。自己ホストではこの上限はないが、実行データの保持期間と DB の肥大化が代わりに運用課題になる。